KerasとTensorFlowによるエンドツーエンドOCRパイプライン
Pythonでシンプルかつ強力な文字認識を実現するKeras-OCR
Keras-OCR APIとは?
Keras-OCRは、KerasとTensorFlowの力を利用してOCR(光学文字認識)タスクを簡素化する高レベルなオープンソースPythonライブラリです。従来のOCRシステムのように複雑な設定を必要とせず、文字検出(CRAFTアルゴリズム使用)と文字認識(CRNNモデル使用)の両方の事前訓練済みモデルを備えたエンドツーエンドのパイプラインを提供します。これにより、開発者はわずか数行のコードで画像、スキャン文書、さらには手書きメモからテキストを抽出できます。
本ライブラリは以下のような実用的なユースケースに最適化されています:
- 文書のデジタル化: 紙文書やPDFを検索可能なテキストに変換
- データ入力の自動化: 請求書、領収書、フォームからのテキスト抽出
- アクセシビリティツール: Webアプリケーションの画像に対する代替テキスト生成
- SNS分析: ミームやユーザー生成コンテンツに埋め込まれたテキスト処理
バッチ処理のサポートとオプションのGPUアクセラレーションにより、Keras-OCRは使いやすさとパフォーマンスのバランスが取れており、プロトタイピングから本番環境での運用まで理想的です。
Keras-OCRの主な特徴
- 事前訓練済みモデル: CRAFT(検出器)とCRNN(認識器)がすぐに使用可能
- 簡単なセットアップ: 最小限の依存関係(Keras、TensorFlow、OpenCV)
- バッチ処理: 複数画像を並列処理で効率化
- カスタムトレーニング: 独自データセットでモデルを微調整可能
- GPU不要: CPUでも動作しますがGPUで高速化可能
- バウンディングボックス出力: 空間分析用の座標付きテキストを返却
- オープンソース: 無料、コミュニティ駆動、MITライセンス
インストール方法
pipを使用してKeras-OCRをインストール(Python 3.6+が必要):
Keras-OCRのインストール
pip install keras-ocr
GPUサポートが必要な場合は、TensorFlow GPU版をインストール:
TensorFlow GPUのインストール
pip install tensorflow-gpu
コード例
Keras-OCRを使用して画像からテキストを抽出する実用的な例を以下に示します。
例1:基本的な文字検出と認識
事前訓練済みパイプラインを使用して画像からテキストを抽出する方法:
基本的なOCRパイプライン
import keras_ocr
pipeline = keras_ocr.pipeline.Pipeline()
images = ["receipt.jpg"]
predictions = pipeline.recognize(images)
print(predictions)
例2:バッチ処理
効率化のために複数画像を一度に処理:
バッチ処理
import keras_ocr
pipeline = keras_ocr.pipeline.Pipeline()
images = ["image1.jpg", "image2.jpg", "image3.jpg"]
batch_predictions = pipeline.recognize(images)
for prediction in batch_predictions:
print(prediction)
例3:バウンディングボックスの可視化
検出された文字領域を元画像に描画:
結果の可視化
import matplotlib.pyplot as plt
import keras_ocr
pipeline = keras_ocr.pipeline.Pipeline()
image = keras_ocr.tools.read("document.jpg")
predictions = pipeline.recognize([image])
keras_ocr.tools.drawAnnotations(image, predictions[0])
plt.imshow(image)
plt.show()
まとめ
Keras-OCRはすぐに使えるパイプラインでテキスト抽出を簡素化し、複雑な設定なしで高速かつ正確なOCRを必要とする開発者に最適です。KerasとTensorFlowとの統合によりカスタマイズが可能で、バッチ処理によりスケーラビリティを確保しています。
文書スキャナー、データ入力自動化、SNSコンテンツ分析など、あらゆる用途に軽量でありながら強力なソリューションを提供します。